ABテスト結果からビジネスに有用なデータを取得する
ABテストの結果やデータは、ただポップアップを最適化してコンバージョン率を向上させるというためだけのものではありません。インターネットの世界で得られるABテストのデータは、現実のビジネスでは低コストで得られる有益なデータになります。
実際のビジネス上において多額の費用を投資する前段階の判断や決断、意思決定に役立てられるさまざまなデータを得ることが可能です。
ここでは3つの事例を用いて、ABテスト結果を現実のビジネスに役立てる方法について解説します。
ABテスト結果・データの活用事例①
課題:『どの製品をどれだけ製造すればいいのか?』
「ある衣料メーカーは、新しい製品のラインナップとしてイエローとピンクのカラーパンツを製造販売したいと考えている。しかし、両方のカラーパンツをフル生産した場合、数億円という想定外のコストが掛かってしまう。
また市場調査は多額の費用が掛かる上に判断が難しく、アンケートに答えたユーザーが自社製品のユーザーであるかは不明。市場調査から確かなデータを得られるとは考え難い。」
このケースにおける課題の解決方法
新商品のカラーパンツ発売を通知する2種類のポップアップ(ピンク・イエロー)をABテスト用に作成します。運営するオンラインショップで、新商品を実際の顧客向けにポップアップで通知し、直接サンプリングを行います。
ポップアップ① イエローのカラーパンツ
ポップアップ② ピンクのカラーパンツ
このようにABテストを実施することにより、実際の顧客に新しいカラーラインナップのサンプルを直接確認してもらえるだけでなく、各カラーの潜在的な需要を知ることにも繋がります。
ABテストを利用すれば、従来のリサーチ手法と比較して低コストで確実なリサーチが可能になります。
ABテスト結果・データの活用事例②
課題:『どの特徴を優先的にアピールするべきか?』
「スマート体温計を製造販売する某企業は商品を販売するにあたり、製品の優れたパッケージを製造したい。しかし、どの機能や特徴を優先的にパッケージに記載するべきか分からない。
パッケージ印刷に多額の費用を掛ける決断を行う前に、どの特徴が最もユーザーの関心を集めるのかについて、確実なデータを収集したいと考えている。」
このケースにおける課題の解決方法
このようなケースでは商品に対するユーザーの興味や機能・特徴への注目度を測るために、ランディングページ上にある各機能を解説する箇所にスクロール移動する「続きを読むボタン」のあるポップアップを作成します。各場所のクリック率を比較することで、顧客の関心を測定することができます。
ポップアップ① 使い方はとっても簡単!
ポップアップ② 体温の測定方法は2通り
ポップアップ③ スマートフォン・アプリでかんたん温度管理
ポップアップ④ お客様から高評価レビューを頂いています!
ポップアップ⑤ メディアに紹介されました!
体温計の特徴をそれぞれ取り上げた複数のポップアップに対してABテストを行うことで、クリック数やクリック率によってどの特徴が最もユーザーの関心を惹くのかが明らかになります。
このテスト結果から得られるデータはパッケージデザインの課題に役立てられるだけでなく、ユーザーが最も興味を示す特徴をランディングページの最前列に配置するなど、運営サイトの改善にも役立てられます。
ABテスト結果・データの活用事例③
課題:『ポスターや広告にどんな画像やイメージを使うべきか?』
「ある旅行会社は、新しいキャンペーンとしてアドベンチャー・プランを企画し、ポスターとフライヤーの両方を製作する。キャンペーンに掛かるコストは500万円を超えるため、宣伝広告に注目を集められるイメージを採用することは非常に重要となってくる。
なお従来の広告で難しい点は、採用するイメージにどれくらいの効果が期待できるのかが正確に計ることができない点である。一度広告を印刷してしまうと、その効果の如何に関わらずやり直しが効かない。」
このケースにおける課題の解決方法
このケースでは、旅行プランを利用する一般ユーザーの注目を集められるイメージの選択が大切になります。先述の通り、実際の効果を正確に測ることが出来ない広告イメージですが、オンラインのデジタル広告であれば簡単にABテストを実施でき、結果からその効果を計ることができます。
現在使用しているメールリスト登録ポップアップ、もしくはEメールアドレス登録フォームのある離脱防止ポップアップのイメージ画像だけを入れ替え、複数のポップアップを作成します。ABテストを実施し、最も効果の高い画像を選出します。
ポップアップ① 人が写り込んだイメージ
ポップアップ② 道路が写り込んだイメージ
ポップアップ③ 大型の鳥が写り込んだイメージ
オンラインでのABテストにより、ユーザーの関心が高いイメージを選び出すことができます。
テスト結果で明らかになったより影響の強いイメージは、実際にプリントするポスターやフライヤーのイメージ選択に採用することができ、確かなデータに基づいたイメージの選択が可能になります。