近年スマートフォンの普及により、多くのユーザーがPCではなくモバイル端末からWebサイトを閲覧するようになりました。これに伴い、モバイル最適化は必須となり、特に「モバイルポップアップ」はマーケティング施策として注目されています。
適切に活用すればコンバージョン率向上やエンゲージメント強化が可能ですが、誤った使い方をするとユーザー体験を損ない、SEOにも悪影響を与える可能性があります。この記事では、効果的なモバイルポップアップのデザインと活用法を解説します。
モバイルポップアップ 効果的なデザイン&SEO対策!
モバイルでのサイト閲覧の高まりとSEO
近年、スマートフォンの普及により、多くのユーザーがモバイル端末からWebサイトを閲覧するようになりました。モバイルポップアップを適切に活用するために、まずはモバイルサイトの利用と重要性を理解しましょう。
モバイルトラフィックの増加傾向
総務省が公表した「令和5年通信利用動向調査」では、個人のスマートフォンの保有率が78.9%にまで達していることが明らかになりました。
また、個人のインターネット利用機器としてスマートフォンが増加傾向にあり、20代~59歳までの各年齢層で約9割が利用しています。
高機能で日常において大変使いやすいモバイルデバイスは、いつでもインターネットにアクセスできる便利さがあり、年々利用率が高まっています。
さらに世界的なデータを参照すると、インターネットユーザーの約96%がモバイル端末を利用しています。そのうち、モバイル端末経由のインターネットトラフィックは全体の55%を占めています。
Googleの「モバイルファーストインデックス」
Googleは「モバイルファーストインデックス(Mobile-First Indexing)」を導入し、デスクトップ版ではなくモバイル版を検索結果の基準とするようになりました。
これにより、PC版とモバイル版で異なるコンテンツがある場合、モバイル版の情報が検索順位に影響を与えることになります。モバイル最適化されていないサイトは、表示速度の遅さやレイアウト崩れがUX(ユーザー体験)を損ない、検索順位が下がる可能性が高まります。
そのため、レスポンシブデザインの採用や、モバイルフレンドリーな構成への改善が、SEO対策として不可欠です。
モバイルポップアップを活用するメリット
モバイルポップアップは、適切に活用することでさまざまなシナリオで効果を発揮します。
訪問者の行動を促したり、必要な情報を適切なタイミングで提供することで、より良いユーザー体験を実現できます。一方で、不適切な設計や強制的な表示は逆効果となるため、ユーザーのストレスを軽減しつつ、効果的に導入することが重要です。
ここでは、代表的な3つのモバイルポップアップのメリットを解説します。
1.コンバージョン率の向上
モバイルポップアップは、訪問者に対して行動を促すトリガーとなり、コンバージョン率向上につながります。クーポンの提示や期間限定オファーを表示することで、ユーザーの購買意欲を高めます。
デザインと表示タイミングを工夫すれば、サイトのエンゲージメントを強化することも可能です。
2.リード(見込み客)獲得
モバイルポップアップは、メールアドレスの収集やキャンペーン参加促進に効果的です。訪問者に対し、「メルマガ登録で特典」や「無料ダウンロード」などのメリットを提示することで、リード獲得の成功率を高められます。
シンプルな入力フォームや明確なCTAを採用し、UXを損なわない形で導入することが重要です。
3.ユーザー体験の向上
ゆ適切に設計されたポップアップは、ユーザーの利便性を向上させ、購買行動をサポートします。例えば、製品レビューやFAQをポップアップで表示すれば、ユーザーの疑問を解決しやすくなります。
その他、チャットサポートや問い合わせフォームへの誘導はサイトの信頼性を高め、ユーザーに対してスムーズなナビゲーションを実現できます。
モバイルポップアップのSEO対策
モバイルポップアップを適切に運用するために、GoogleのSEOガイドラインを理解しましょう。
特に、Googleはユーザーのサイト閲覧を妨げるポップアップを問題視しており、不適切な使用は検索順位の低下を招く可能性があります。ここでは、Googleの「Intrusive Interstitials Update」とSEOへの影響について詳しく解説します。
Googleの「Intrusive Interstitials Update」とは?
2017年1月、Googleは「煩わしいポップアップを表示するサイトの検索順位を下げる可能性がある」と発表しました。
これは、検索結果から訪問したユーザーがコンテンツにアクセスしづらくなるようなポップアップを使用するサイトをペナルティの対象とするアルゴリズム更新です。
特に、ページ訪問直後に強制的に表示されるポップアップは、検索エンジンの評価を下げる原因となるため注意が必要です。
SEOに影響しない許可されたポップアップ
適切なポップアップの使用であれば、SEOに悪影響を与えずに運用することが可能です。Googleが許可しているポップアップの例は以下の通りです。
ヘッダーやフッターに固定表示される小型のバナー。
「×」ボタンが明確で押しやすい。
コンテンツの閲覧を妨げず、背景が透過するデザイン。
SEOに悪影響を与えるポップアップ
Googleが問題視するポップアップには、以下のような特徴があります。
訪問直後に表示され、メインコンテンツを完全に覆うポップアップ。
「×」ボタンが極端に小さく、押しづらい or 見つけづらい。「×」ボタンがない、または偽装されている。
ユーザーが意図しないタップで広告ページへ誘導される。
効果的なモバイルポップアップ 作成のポイント
モバイルポップアップを効果的に活用するには、ユーザー体験(UX)を損なわず、適切なタイミングとデザインで表示することがポイントになってきます。またポップアップは、誤った設計では離脱率を高め、SEOにも悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、モバイル端末は画面が小さいため、邪魔にならないサイズやレイアウトで運用することが大切です。ここでは、Googleのガイドラインを踏まえながら、効果的なモバイルポップアップの作成ポイントを解説します。
1.UXを考慮したポップアップデザイン
1.スマホ画面への最適化
モバイルポップアップは、スマホ画面に最適化されたレスポンシブデザインが必須です。PC向けのポップアップをそのまま使用すると、画面崩れや操作性の低下を招きます。適切なサイズやレイアウトを設定し、視認性と操作性を向上させましょう。
2.ユーザーがストレスなく「閉じられる」デザイン
ポップアップは簡単に閉じられる設計が重要です。「×」ボタンが小さいとストレスになり、離脱の原因になります。大きめのボタンを配置し、スワイプ操作で閉じられる設計を採用すると、UXの向上につながります。
3.シンプルなテキストを採用する
モバイルでは画面スペースが限られるため、メッセージは簡潔にして表示します。長い文章は読まれにくいため、具体的かつ明確なCTA(例:「今すぐ登録」)を採用し、コンバージョンにつなげましょう。
2.適切なタイミングで表示する
1.訪問直後を避け、スクロール後・一定時間後に表示
ポップアップは訪問直後ではなく、ユーザーの行動に合わせたタイミングで表示することが重要です。スクロール後や一定時間滞在後に表示することで、サイト閲覧の邪魔をせず、自然に訴求できます。
2.離脱防止ポップアップの活用
ユーザーが離脱しようとした瞬間に表示されるポップアップは、カート放棄やページ離脱を防ぐのに有効です。戻るボタンを押した際に特典を提示することで、購買率や滞在時間の向上につながります。
3.目的に応じたトリガーを設定
ポップアップは、ユーザーの行動データを基に適切なタイミングで表示するのが効果的です。例えば、商品ページを30秒以上閲覧したユーザーにクーポンを表示することで、コンバージョン率を高められます。
3.ポップアップサイズと位置
1.画面全体を覆わない(SEO対策&UX向上)
ポップアップは画面全体を覆わないデザインにすることで、SEOとUXの両面で効果を高められます。閲覧の妨げになる全画面表示は避け、適度なサイズでコンテンツを邪魔しない設計を心がけましょう。
2.フッターやヘッダーにスモールバナー形式で
画面のヘッダーやフッターに固定表示するスモールバナー型ポップアップは、閲覧の邪魔をせず、効果的に情報を伝えられます。閉じる手間がなく、ユーザー体験を損なわないため、クリック率の向上が期待できます。
3.CTAボタンをタップしやすいサイズに
モバイルでは、CTAボタンは指で押しやすい適切なサイズに合わせて設計します。ボタンが小さすぎると誤タップを招き、ユーザーのストレスになります。視認性が高く、押しやすいデザインを採用しましょう。
モバイルで使えるポップアップデザイン
モバイルポップアップの利用で意識しておきたい大前提は、「ユーザー体験を損なわない」ということです。前項でご紹介したポイントを押さえた上で、モバイルポップアップのデザインを考慮しましょう。
以下に、モバイルポップアップのデザイン例をいくつかご紹介します。
1.ハロウィンの割引クーポンポップアップ
ハロウィンセールでお得な割引クーポンを提示するポップアップです。モバイル用のデザインとして、背景が透過してメインコンテンツが表示されるように工夫されています。
メールフォームにメールアドレスを入力すると、割引クーポンがメールボックスに届く仕組みとなっています。「メールアドレスを登録する」というCTAボタンがコントラストで見やすく、かつタップしやすく工夫されています。
2.母の日のクーポンポップアップ
母の日のクーポンコード提示ポップアップです。このポップアップは、母と子をイメージした母の日カードのような目を引く視認性が高いデザイン、閉じるボタンもタップしやすくデザインされています。
「母に愛と感謝を込めて!20%OFFクーポンは以下です。」とユーザーが一目見て分かりやすいコピーを採用し、ユーザーはクーポンコードでお得に買い物ができます。
3.モバイルで楽しめるクーポンルーレット
ゲーミフィケーション効果を狙ったクーポンルーレット・ポップアップ。ユーザーはフォームにメールアドレスを入力してクーポンルーレットを回すことができます。
分かりやすい文言と、閉じるボタンが黒のコントラストで押しやすくなっていること、そして背景のメインコンテンツが透過している点も、ユーザー体験を損なわないポイントです。カラフルでお得なクーポンルーレットは、コンバージョン率も高い傾向があります。
4.送料無料を提案するバナーポップアップ
ECサイトユーザーなら誰もが期待する送料無料オプションは、メインの商品ページを見るユーザーにバナーポップアップを使って、ユーザーのサイト閲覧を邪魔しない形でアピールするのが得策です。
送料無料の4文字を大きく表示。さらに、5000円以上の買い物で送料が無料になることが一目で理解できます。閉じるボタンもコントラストで見やすくなっており、最もユーザー体験を阻害しないポップアップとなっています。
5.LINEお友達登録モバイルポップアップ
マーケティング施策として利用されるLINEのお友達登録も、モバイルポップアップで登録を募る事ができます。LINEのテーマカラーを利用して、スタンプでおなじみのキャラクターを両脇に配したモバイルポップアップです。
こちらもまた一目でその目的と、どうアクションを起こせばよいのかがユーザーに分かりやすく、コンバージョンしやすいポップアップとなっています。視認性の高さはもちろん、キャラクターにアニメーションを設定すれば、注目の集まるポップアップになります。
6.クロスセルのモバイルポップアップ
特定の商品を閲覧しているユーザーに表示するクロスセルを目的としたモバイルポップアップです。例えばソファ商品を閲覧しているユーザーにポップアップを表示。クッションの画像を設定して「ソファに合わせてコーディネート」とクロスセル購入を訴求しています。
閉じるボタンは分かりやすい色と位置を選択。ソファにあった柔らかいカラーの選択と、「今すぐ選ぶ」というCTAボタンにより、ユーザーがタップしやすい設計となっています。
7.営業時間を知らせるモバイルポップアップ
営業時間の変更を知らせるモバイルポップアップです。文言はもちろんですが、時計のアイコンを配置することで、時間に関するお知らせであることが一目で理解できます。
画面を占有しないサイズで、ユーザーのサイト閲覧を邪魔しない設計となっています。ホワイトが基調のデザインで閉じるボタンも分かりやすく、コンバージョンを目的としないため、ボタンではなくテキストを採用。分かりやすさと視認性の高さが際立つモバイルポップアップです。
モバイルポップアップに関するFAQ
1.モバイルポップアップはSEOに悪影響を与えますか?
Googleはユーザー体験を妨げるポップアップを問題視しており、そのようなポップアップを掲載していると検索順位が下がる可能性があります。特に訪問直後に画面全体を覆うポップアップや閉じにくい広告はペナルティ対象です。
一方で、フッター固定バナーや適切なタイミングで表示されるポップアップは問題になりにくいため、Googleのガイドラインに沿った設計が重要です。
2.効果的なモバイルポップアップ作成のポイントは?
モバイルポップアップは、ユーザーのサイト閲覧を妨げないデザインを意識して作成するのがポイントです。またポップアップの出現は訪問直後ではなく、スクロール後や一定時間後に表示し、画面全体を覆わない設計にすることでUXが向上します。
CTA(Call to Action)はシンプルで明確にし、タップしやすいボタンサイズを採用することで、コンバージョン率の向上につながります。
3. Googleのガイドラインに準拠したポップアップの作り方は?
Googleは法的要件(Cookie同意・年齢確認)やログイン画面、小型バナーを許可しています。訪問直後にコンテンツを覆うポップアップや閉じづらい広告はペナルティ対象です。
SEO対策としては、フッター固定バナーやスライドイン型ポップアップを活用し、Googleのモバイルフレンドリーテストで最適化を確認することが推奨されます。
4.コンバージョン率を上げるためのモバイルポップアップ活用法は?
適切なトリガーとオファーが重要です。例えば、30秒以上滞在したユーザーにクーポンを提示すると、購買意欲を高められます。
また、離脱防止ポップアップを活用し、戻るボタンを押した瞬間に特典を表示することで、直帰率を下げられます。ユーザーの行動データを分析し、適切なタイミングでポップアップを表示することが成功の鍵です。
モバイルポップアップを適切に作成
モバイルポップアップは、適切に設計すればコンバージョン率向上やリード獲得に効果的ですが、誤った使い方をするとユーザーのストレスとなり、SEOにも悪影響を及ぼします。
Googleのガイドラインに準拠し、閲覧を妨げないデザイン、適切な表示タイミング、最適なサイズを意識しましょう。ユーザー体験を最優先に考え、価値のある情報を適切な形で提供することで、ポップアップの効果を最大化することが可能です。