業界をリードする5大ポップアップツールの
技術的データを収集し、パフォーマンスを徹底検証。SEOやコンバージョン率を向上または低下させる
ツールが明らかになりました。
オンラインビジネスの成功ガイドでは、クリックごとに広告収入が発生するPPC(ペイ・パー・クリック)やSNSのフォロワー構築、サイトやバナーのデザインに関する事柄がよく取り上げられます。しかし、運営サイトのパフォーマンスは最も重要なものであるにもかかわらず、その難易度の高さから見過ごされたり、手に負えないと放置されることも少なくありません。
Googleのオフィシャル・アナウンスでは、
”サイト表示速度はダイレクトにコンバージョン率、サーチエンジンのランキングに影響を及ぼす要素である”
と明言されており、サイト運営では無視できない最重要ポイントです。
ShopifyやWixといったプラットフォームでは、デフォルトで非常に速いサイト表示速度を誇ります。しかし、そのようなプラットフォームを使っていても表示速度が遅くなってしまうのは、主にサードパーティ製アプリの重いスクリプトをダウンロードするのに時間が掛かり、ウェブページの読み込みを阻害しているからです。
サードパーティ製アプリのスクリプトの重さは、サイト表示速度を考える上で最も無視できない事柄です。そして、あなたの競合サイトも重いスクリプトによって、サイト全体が重くなっている可能性が高いのです。つまり、適切なアプリを選択することは、競合サイトに差を付けられることを意味します。
今回、コンバージョン最適化やゲーミフィケーションを取り入れた代表的な5つのポップアップツールについて、サイト表示速度を左右するスクリプトのロード速度を検証しました。その結果についてご紹介します。
1秒間のサイトスピードの改善で、モバイルでのコンバージョンが最大27%増加します。
検証の手法
今回、対象の各ツール上で公平にロード速度を検証するために、平均的なユーザーが行うポップアップの使い勝手を想定し、デフォルト設定・視覚的に似通ったポップアップを使用しました。
Unsplashから著作権フリーのパンプキンの画像(by Anastasiia Chepinska)を取得し、画像とメールフォームで分割された、シンプルなポップアップを作成。Webサイトがロードされてから5秒でポップアップが表示されるトリガー設定となっています。
まず、テストサイトでデフォルトのサイト表示速度を計測。各ポップアップツールをインストールした後に表示速度を再計測を行い、トータルの影響とリソースのロード負荷を算出しました。
検証の対象となるツール 🥊
今回、検証を行う対象として以下のツールを選出。いずれもポップアップツールとして有名なブランドに分類されます。
最も難しいとされる指標を用いて、それぞれのサイト上でのパフォーマンスについて徐々に深く掘り下げていきます。
Lighthouse(Google) によるスピードスコア
Lighthouseは最も一般的なサイトスピードチェッカーであり、利用が推奨されているツールです。
ただし、Lighthouseは、SEOに直接影響しているわけではなく、Googleは実際のユーザー体験を元にサイトをランク付けしています。この点はとても重要で、Lighthouseのスコアだけを見ればいいというわけではないということです。そこでこの後、Lighthouseよりも深掘りして検証していきます。
なお、Lighthouseのスピードスコアはポップアップが有効になってから測定されました。5回測定の平均値。
※数値が高いほどハイスコアを示します。
結果としてJavascriptを非同期で読み込むツールにはあまり影響はなく、サイト表示速度と同等の速度をマークしました。しかし、Powrは大量のリソースをロードすることからスピードスコアが落ちる傾向が明らかになり、またPoptinはJQuery(プログラムの集合体)のロードと肥大化(コンピューターで多くのリソースを占有すること)により、表示速度に深刻な影響が出ることが判明しました。
トータルのデータ転送
検証内容をもう少し掘り下げ、速度を計るもうひとつの指標としてデータ転送量を検証。ポップアップを表示するのに、どれほどのデータ量が必要になるのでしょうか?
この項目のスコアが悪い場合、多くの人が利用するモバイル端末や都心部でネット回線が混雑している状況下で悪影響を及ぼします。検証結果では、一部のツールはページ総容量が2倍以上になっているものもあることが分かりました。
ポップアップ起動時の総合データ転送量(キロバイト)
*数値が低いほど良い
圧縮イメージとデータ転送量
Googles Lighthouseのツールでは、高いスコアを取得するためには最新の画像フォーマットと、正しいサイズの画像を使用することを重要な要素として掲げています。
そこで一般的なユーザーが行うように、フリー画像サイトのUnsplashから直接画像を取得してポップアップビルダーにアップロードし、それぞれのツールがリサイズと圧縮によってどれだけ画像データ量が小さくなるか検証しました。
画像データ全体の転送量(Kilobytes)
*数値が低いほど良い
対応する画像圧縮形式
先述の通り、GoogleのLighthouseでは最新の画像フォーマットを使用することをスコア取得の要素としています。Google Chromeを使用して、各ツールの画像フォーマットがどのような形式で配信されるかについて検証しました。
Promolayer: Avif & WebPをサポート
Promolayerは対応ブラウザでは最新のAvif形式を使用し、古いブラウザではWEBPやJPGにフォールバックします。
Privy: 最新のフォーマットには未対応
PrivyではJPG / PNGのみ対応。Lighthouseの最新フォーマットチェックに失敗しました。
Optimonk: WebPをサポート
Optimonkではサポートされているブラウザでは最新のWEBP形式を使用し、古いブラウザではWEBPとJPGにフォールバックします。
Powr: 最新のフォーマットには未対応
PowrではJPG / PNGのみ対応。Lighthouseのモダンフォーマットチェックに失敗しました。
Poptin: WebPをサポート
Poptinではサポートされているブラウザには最新のWEBP形式を使用し、古いブラウザではWEBPとJPGにフォールバックします。
※フォールバック・・・機能を制限して表示すること
日本語フォントのサポートとサイズ
日本語のフォントは、ここ数年の間に英語のフォント同様に各ツールでも使用することが出来るようになりました。日本語を使ってスタイリッシュなデザインのポップアップを作成できるようになりましたが、いくつかのツールでは日本語のフォントはサポートされていません。
なお、このテストはGoogleフォント内のNoto-sans JP fontで実施されました。
日本語フォントを使用することによる負荷の増加(キロバイト)
*数値が低いほど良い
- Privy / Poptin ・・・・日本語フォント未対応の為、テスト不可
- Optimonk (1.8Mb/重い) ・・・・フルフォントの読み込みに対応
- Powr (120kb/やや軽量) ・・・・Googleフォントを適切に読み込み
- Promolayer (3kb/非常に軽量) ・・・・Googleからサブセット(部分集合/軽量化)されたフォントを読み込み
Javascriptのリソース合計
再び深く掘り下げ、Javascriptについての詳細を確認します。JavascriptはWebサイト上で最もリソースを消費する箇所になります。どうして?という声が聞こえてきそうですが、例えば大きいサイズの画像ファイルは、ダウンロード後に画面に表示されるだけと段階が非常に単純です。一方、Javascriptはダウンロード後に解析され、その後実行されるという複雑な段階を踏みます。
この一連の流れはCPUのリソースを使用し、デバイスが行う他の作業を停滞させてしまいます。加えてこの問題は、古い機種のデバイスや低電力デバイス上ではさらに深刻な悪影響を及ぼします。
圧縮されていないJavascriptのリソース (MB)
*数値が低いほど良い
スクリプトの実行時間
この段階ではポップアップのスクリプト実行と表示までの一連の動作にどれ程の時間を必要とするかについて分析します。なお、これはプログラムの初期実行フェーズで分析されたものであり、巨大なJavascript バンドル(複数のファイルをひとつのファイルに出力すること)による初期実行フェーズについては考慮されていません。
なお、このテストは最新のM1 Macbookで行われました。古いモバイルデバイスでは、これらの実行時間は一桁多くなることが予想されます。
ポップアップを表示するために必要なスクリプトの実行時間。ミリ秒単位で表示しています。
*数値が低いほど良い
検証の結果
検証の結果から、ECサイト運営でSEOとコンバージョン率について考慮するのであれば、Promolayerはポップアップやゲーミフィケーション、コンバージョン最適化が行える唯一のツールであると言うことができます。
Promolayerのエンジニアチームは、「コンバージョン率」と「パフォーマンス」にこだわって開発を続けています。最新のアップデートで達成した速いロード速度により、Promolayerユーザーのポップアップ活用によるコンバージョン率向上を心待ちにしています。
また、私たちのツールや競合他社が進化するにつれて、この記事を更新していきたいと考えています。記事に追加してほしい指標などのご要望があれば、ご遠慮なくご意見等をお寄せください。